フェニックスに引っ越してきて、すぐに違和感を感じたことばがある。地元のことを「バレー(valley)」っていうんですね。こっちの人たちは。
ぼくには大がつくほど広々とした平野(盆地)にみえるのに、バレーとは。日本語でいったら渓谷でしょ、と最初は思ったからだ。オンライン辞書の英辞郎によると:
- valley
【名】
- 〔川が流れる〕谷(間)、渓谷
- 〔川の〕流域
- 〔谷に似た〕低地、くぼみ
- 《建築》〔二つの屋根の〕谷部
- 《the Valley》〈米〉セントラル・バレー◆【同】the Central Valley
アメリカでは◯◯バレーという地名がよくある。代表的なのはシリコンバレー。それ以上深く考える機会もなく、相変わらず何を持ってバレーと呼ぶのか今もはっきりしないが、いつのまにか「バレー」という言葉をわりと違和感なく自分も使っているなぁ、とふと思った。
グーグルアースでアリゾナ州を上空から見下ろしてみると、「(乾燥した)低地」「(緑がある)山間部」「(乾燥した)準高地」の3つの帯が左上から右下に向かって走っているように見える。
山間部から準高地にかけてははコロラド・プラトーと呼ばれ、地層的にはロッキー山脈に連なる。右上の準高地の多くはナバホ族居留地とホピ族居留地になっている。州境が十字に交差しているところは、フォーコーナー(Four Corner)と呼ばれ観光名所になっている。
フェニックスは地図のほぼ中央。低地エリアにあって山間部にも近い。この低地はメキシコ北部まで広がり、総称してソノラン・デザート(Sonoran Desert)と呼ばれる。アメリカの他の地域と一線を画する特別な植生で有名。
カリフォルニアとの州境はコロラド川。その他の州境、メキシコとの国境は人工的な直線になっている。一辺およそ500キロの正方形がアリゾナ州。総面積およそ30万キロ平米。日本の8割の広さに、660万人が住む。面積と人口はぼくも今日まで知らなかった。
(第12回)