「公園デビュー」という流行語があったけれど、リリィとノラを連れて初めてドッグパークに出かけた時の僕の気分はまさに公園デビューするママだった。

車を止めてからが大変だ。しつけの悪いリリィとノラにあらぬ方向にぐいぐいとひっぱられながら、ようやく入口まで辿りつく。フェンスのドアを開け、入って閉めると、もう一つドアが。そのドアを開けると、そこがドッグパークだった。ナイターの球場のように夜間照明が明るい。

サッカーコート1面でも取れそうな広々としたドッグパークの中では、犬の飼い主たちがたむろして雑談をしていて、そのまわりで種々雑多な犬たちが群れになって走り回っている。とりあえず、リリィとノラの綱をはずしてみる。ふたりともぼくの足元にぴったり張り付いて離れない。恐る恐る人口・犬口が集中しているあたりに近寄ってみるものの、なかなか自分から声をかけることがためらわれた。獰猛犬として知られるピットブルの雑種であるリリィが、他の犬や飼い主に吠えたり噛み付いたりしないか、はらはらしたが、杞憂におわってほっとした。

行き慣れてくると、リリィもノラもそれなりに楽しいようだ。他の犬たちと一緒に遊べるようになった。水飲み場もあるし、犬のうんちを拾って捨てられるようにビニール袋と大きなドラム缶が用意されている。毎晩10時まで使えるようになっていて無料。ほんとうにありがたい。飼い主たちも、たむろして雑談するだけでなく、周辺のベンチに座って本を読んでいたり、犬とボールで遊んでいたり、さまざまだ。

ドッグパークに向かう車中のリリィとノラの高ぶる予感を歌にしてみた。

♫ドッグパークに行くんじゃないかな♫

ドッグパークに行くんじゃ〜ないかなぁ (合いの手:じゃないかな

ドッグパークに行くんじゃないかなぁ (合いの手:じゃないかな

いつもとちがう道だけど 僕にはわかるんだ

ドッグパークに行くんじゃないかなぁ (合いの手:じゃないかな

ドッグパークに行くんじゃないかなぁ (合いの手:じゃないかな

パパさん パパさん パパさん そうでしょっ

そうに決まってる

メロディーを紹介できないのが残念だ。

公園デビューからはや9年。最近のリリィとノラはメタボぎみで、時々他の犬たちの後ろを重そうに走ってみるものの、だいたいはぼくにへばりついている。そんなふたりを引き連れてフェンス沿いに何周か小走りで廻ることが多い。

(第37回)

*REVOLVER dino network 投稿 | 編集