デジタル技術がフィルムを駆逐してしまった昨今の写真の世界のなか、昔ながらの技術にこだわる一握りの写真家がいて、そういう写真家の作品に時折遭遇することがある。

オランダの写真家、アレックス・ティマーマンズ(Alex Timmermans)の作品が紹介されていた。記事のタイトルに「Enchanting and Surreal」とあるように、魅惑的で奇妙な世界に、一瞬にして惹き込まれた。(元記事はこちら

彼がこだわるのは、写真湿板と呼ばれる、フィルムが登場する以前からの古い技術で、ガラスの表面に化学物質を塗布してそこに写真を感光する。ティマーマンズ氏のYoutubeチャネルに写真湿板の紹介があった(1:30)。あら不思議。

もうひとつ、準備から撮影の様子までを紹介した少し長めのビデオ(8:32)。

最新のデジタル写真技術と比べると、たった一枚の写真を撮るためにとてつもなく手間がかかる不自由な技術。それでも、ティマーマンズ氏は、デジタル写真には全く関心がないという。

創作活動を支える道具として、その固有の特徴を活かして彼独自の世界を描いている。試行錯誤しながら、きっと長い時間を費やして会得した技であって、もはや道具の優劣の問題ではなく、個人の創作活動において切っても切り離せないインスピレーションの源泉になっているのではないかと想った。

(第28回)

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